今更ながら、AV新法って何ぞや?という疑問をお持ちの方へ

昨年辺りから、AV新法という言葉をよく耳にするようになってませんか?

アダルトショップで働いていると、業界的にこれ実はかなり切実な問題でもあり、出演者や、メーカー、メディアを扱っている下請けの業者、各ショップ、お客さんに至るまで、AVに関わるであろうすべての人に影響しています。

去年の11月頃から自分のショップには影響が出始めました。

具体的にどういった影響かというと、新品商品の入荷数が少なくなったというものです。

ん?それだけだと、ただ単に発売する作品数自体が少なかっただけじゃないの?と思われがちですが、元々発売が予定されていたけど新法の影響で発売できなかったというようなことが起きています。

まず、AV新法とは?

AV新法とは、「AV出演被害防止・救済法案」という小難しい法案の略称です。

分かりやすく言うと、勝手にAVに出させられた、AVに出ることを強要されたなど、被害者が出ている実害があることから、そういった被害を無くしたり、救済するというのが目的で作られたものです。

適正AVであれば、ちゃんとした審査の上で販売されているので何ら問題はないと思うのですが、そうじゃない不適切なAVや個人撮影した物など適正な審査を通していないものも数多くあり、どちらかといえば不適切な作品に対しての法案であると言えます。

しかしながら、やむを得ない事情等で出演してしまった、軽い考えで出演してしまった等の理由もあるため、じゃあしっかりとラインを引きましょう、それに違反したら罰則ね〜というのが新法のあるところになりました。

まぁこれだけ聞くと、なんとなく筋が通ってると思われがちですが、業界からは反発の声も多く上がっていて、それが先程言った、入荷数が少なくなっているということに繋がります。

AV新法では事業者と、出演者それぞれにある条件を提示しています。

事業者側

  • 出演契約締結時の契約書等の交付と、契約内容の説明の義務化
  • 撮影時の出演者の安全を確保する義務
  • 契約から1か月間の撮影の禁止
  • 全ての撮影終了から4か月間の公表の禁止

出演者側

  • 出演者は意に反する性行為等を拒絶することができる
  • 出演者は公表前に撮影された映像を確認することができる
  • 出演者は撮影時に同意していても、公表から1年間は無条件に契約を解除することができる
  • 出演者は契約がないのに公表されている場合や、契約の取消・解除をした場合は、販売や配信の停止等を請求することができる

一見しっかりと提示されていますが、まぁこれが今までの業界のルールを大きく足かせになる内容になっています。

今までは、ラインやメールなどで「撮影内容・ギャラ・拘束時間・日時」等を事前に打ち合わせだけはしておいて、撮影するときに出演者が契約書にサインするという流れがこの業界のスタンダードだったそうです。

メーカー担当者さんにそれとなく聞いたところ、監督さんや、メーカーとのある程度の信頼関係が成り立っていれば全く問題ない状況ですし、一昔前と違ってセル店で新品販売されているメーカー・レーベルに関して言えば、以前から契約条項に関してはしっかりと管理していたそうです。

女優さんの扱いも、とても大事にしていたということでした。

現場は混乱!メーカーも出演者も四苦八苦状態に!

アダルト業界の規模は、世の中の半分が男性ということを考えれば需要がなくなることはまずありません。

それほどまでに大きな規模となっています。実際に1日を通して誰もお店に来ないなんて日はありませんし、台風や大雪の日でも来店が「0」ということは今までに経験したことがありません。

そして、新作が出るペースもこの業界の特徴と言えます。ほぼ毎日何かしらの新作が出ています。

新作が出るということは、それだけ撮影をしないといけないということですが、それが新法の影響で撮影が中止になったり、販売中止になったりということが起こっているようです。

まず、撮影に入る前に契約書が必要になるため、事務的な手続きがかなり増えたようです。

そこから1ヶ月間は撮影が出来なかったり、撮影後4ヶ月立たないと発売出来ないというような期間での縛りがついてしまったのも痛手のようですね。

現役の女優さんのツイッターでの発言を見る限り、かなり大変だったことが伺えます。

AV業界の支払の流れも業界を存続させるうえでのネックとなっているようです。

AVを作成した際に、1ヶ月は撮影が出来ず、4ヶ月は公表が出来ないということであれば、発売は5ヶ月後ということになりますね。各配信サイトからの入金が来るのが発売から2ヶ月後ということらしいので、契約書を交わしてから7ヶ月の間売上が入ってくることがありません。ということは、出演者にギャラが支払われるのも遅くなるということになります。

AV作成会社は、内容から銀行等の融資を受けることが難しいため、資金繰りでもかなり大変になっていると推測されます。

更に、一条みお氏のツイッターでの発言にあるように、契約書に記載されている内容以外の条件での撮影は全て違法になるらしく、代替えが女優・男優共にNGになってしまうというのも融通が利かない状況になっています。

これに関しては、単体作品で作る場合には問題なさそうですが、出演者の日程が合わなくなってしまった場合に契約書で記載されている期日が、その日指定だった場合には撮影自体が飛んでしまうことになります。

ある程度の期間を決めて撮影に望むようにはしているとは思いますが、そこにも問題があると個人的には思っています。

撮影する近郊に住んでいる女優さんは、多少のスケジュールが変更になってもすぐに対応できると思いますが、地方に住んでいる女優さんは撮影する場所まで移動してこなければいけませんよね。そうなった場合の移動手段の変更等を含めると色々と問題が出てくるのは間違いないと思います。宿の変更や、新幹線・バス等の座席の取り直しなど負担が増えますね。

地方に住んでいる女優さんほど今回の新法の影響が大きいと思います。

更に、共演作なんかはもっと問題があると考えられます。複数人で出演するような作品で、誰か一人でも途中でNGになった場合は、作品自体販売も撮影もできなくなります。その時点で売上もギャラも全部がパァになってしまいます。これが代替えが可能であれば柔軟に対応できるのですが、契約書がある限り対応が出来ないということになります。

出演者からしてみると、「仕事がなくなってしまう」というこにも繋がりかねないですね。

私は、どちらかと言うと業界側寄りの人間なので、適正にやっているところには面倒な法案でしかないと思っています。要は、不適切に行われているものを適切に行われているものまで一緒に巻き込んでしまっていることが今回の混乱を起こしていると思います。今後色々な課題が出てくるたびに議論されて何かしらの緩和等は行われると考えているので、今後の展望を見守りたいと思います